金沢
卯の花山、くりからが谷を越えて、金沢へは7月15日となりました。
ここに大阪から通う商人で何処という名の者がおりました。その者と旅の宿をともにします。ここでの商人何処という人物は句が残されていて蕉風の俳人であったかも知れません。
兎に角、金沢では蕉門の俳人達との再会が楽しみでした。
ことに、名を一笑という者は、小杉一笑という俳人で、この道に詳しい人には多少名の通った人物で、世間では知る人もいたであろうに、芭蕉が訪れるのを待たずに去年の冬に早くもなくなってしまったとのことです。その兄が追善に冥福を祈り句会を催しました。
芭蕉は、三十六歳の若さで死んだという話に深い悲しみを感じて句を詠んでいます。
その際に「奥の細道」に芭蕉3句を書き記しています。