芭蕉の食べ物の句

松尾芭蕉の全句の中から食べ物の句を抜粋してみました。

 

春立や新年ふるき米五升

餅を夢に折結ぶしだの草枕

蒟蒻にけふは売かつ若菜哉

雨の手に桃とさくらや草の餅

種芋の花のさかりに売りありく

蒟蒻のさしみも少し梅の花

似あはしや豆の粉めしにさくら狩

木のもとに汁も膾も桜かな

苔汁の手ぎわ見せけり浅黄椀

蛎よりは海苔をば老の売もせで

雪の魨左勝水ー無月の鯉

水無月や鯛はあれども塩くじら

夏の夜や崩て明しひやし物

小鯛さす柳涼しや海士(あま)がつま

飯あふぐかゝが馳走や夕涼

皿鉢もほのかに闇の宵涼み

鰹売いかなる人を酔すらん

鎌倉を生て出でけむ初鰹

又やたぐひ長良の川の鮎なます

烏賊売の声まぎらはし杜宇

たけのこや稚き時の絵のすさび

あやめ生り軒の鰯のされかうべ

柚の花やむかししのばん料理の間

朝露によごれて涼し瓜の泥

めづらしや山を出羽の初茄子

ちさはまだ青ばながらになすび汁

夕顔にかんぴゃうむいてあそびけり

身にしみて大根からし秋の風

ゑびす講酢売に袴着せにけり

雪の朝独り干鮭を噛得たり

 

今回は約30句です。「俳句」角川の資料から抜粋致しました。難しい句や、季語がややこしい句など、さまざまですが、江戸時代の食生活が垣間見れると思います。

江戸時代には牡蠣や海苔を売り歩く商売があったようで、深川あたりでは取れたての海産物が美味しいようですね。

鮎や鰒も食べていたようです。なかなか豊かな生活ではないかと思います。

蕉門の杉山杉風(すぎやまさんぷう)という人物が江戸は深川の近くで「鯉屋」という幕府に魚を納める問屋を営んでいて、そこに呼ばれた時の句などがあります。

 

ここに、上記の句ではないのですが、もう1句上げておきたいと思います。

明ぼのやしら魚しろきこと一寸

この句は、白魚で有名な桑名で芭蕉41歳に詠んだ句とされています。この句でまず思い出すのが「一寸の虫にも五分の魂」という慣用句です。

小さな物への芭蕉の愛情が感じられますね。

 

鎌倉を生て出でけむ初鰹

他に例句のなかのこの句ですが、この句はちょうど今くらいの初夏の句です。鰹は江戸時代にかなり珍重されていました。そんな鰹の獲れる季節がきて、沖縄から北上して土佐の港に上がり、伊豆へと昇ります。そして、江戸へ上るのです。この句は、そんなシーズンがいよいよ鎌倉から江戸へ来るぞ!という句ですね。「女房を質に入れても初鰹」という江戸川柳を思い出すような威勢の良い句ですね。