芭蕉と旅と紀行文
芭蕉は自らを見つめ自然の心をとらえ、575の文字で表現するために、風雅の道を求めていました。
そのために、作品に行き詰まると旅を試みています。代表的な紀行文を上げてみましょう。
「野ざらし紀行」「笈の小文」「奥の細道」この3つが最も有名です。
そして、その合間にも幾つかの紀行文を残しています。「鹿島詣」「更科紀行」「嵯峨日記」などです。
●年齢順のまとめ(代表的な一句)
四十一才
「野ざらし紀行」野ざらしの旅。1684年秋~翌年1685年4月。
野ざらしをこゝろに風のしむみかな
四十四才
「鹿島詣」 月見がてら鹿島への旅。 1687年8月。
月はやしこずゑはあめを持ながら
四十四才
「笈(おい)の小文(こぶみ)」旅を楽しむ心境の旅。1687年10月~1688年の旅。
旅人と我名よばれん初しぐれ
四十五才
「更科紀行」笈の小文の旅を終え帰りの旅。1688年8月。
俤は姨ひとりなく月の友
四十六才
「奥の細道」みちのくの旅。1689年3月27日深川を出発~9月6日大垣に筆を止める。
閑さや岩に染み入る蝉の声
四十八才
「嵯峨日記」落柿舎滞在中の日記。1691年四月十八日~五月四日。
五月雨や色紙へぎたる壁の跡
~~芭蕉の旅を詠んだ句~~
旅がらす古巣はむめに成にけり 42才
旅寝してみしやうき世の煤はらひ 44才
住つかぬ旅のこゝろや置炬燵 47才
旅人のこゝろにも似よ椎の花 50才
旅に病で夢は枯野をかけ廻る 51才
(2017・6・24)