芭蕉の詠んだ時雨の句

1初時雨初の字を我時雨哉
2初しぐれ猿も小蓑をほしげ也
3旅人と我名よばれん初しぐれ
4時雨をやもどかしがりて松の雪
5世にふるもさらに宗祇のしぐれ哉
6山城へ井出の駕籠かるしぐれ哉
7作りなす庭をいさむるしぐれかな
8宿かりて名を名乗らするしぐれ哉
9新わらの出そめて早き時雨哉
10白芥子や時雨の花の咲つらん
11人々をしぐれよやどは寒くとも
12一尾根はしぐるゝ雲かふじのゆき
13しぐるゝや田のあらかぶの黑む程

11月になりました。立冬も過ぎて小春日和がぽかぽかと心地よい季節です。
ここでは、芭蕉の詠んだ「時雨」をピックアップしました。冬になると朝晩の時雨が寒さを呼んできます。
ちょうど「小六月」と言われるように「時雨」の季節です。

さて、芭蕉が時雨を詠んだ句は約13句ありました。3の句は芭蕉44才「笈の小文」の句です。旅の俳聖と言われる芭蕉らしい句ですね。秋も深まり冬がやってきた儚い漂泊の身の上を詠んでいます。

こうしてみると時雨には季重なりの句が多いようです。季節が移り変わる晩秋から初冬に詠まれているからでしょう。

芭蕉の句の特徴なのかあまり寒さが厳しくて時雨が冷たいという感じの句は無いように思いますね。これは「時雨」という降ったりやんだりのはっきりしない天候を上手く表しているためにユーモラスな感覚の句となるからなのでしょう。