
芭蕉の詠んだ桜の句のなかに
「菜畠に花見顔なる雀哉・・・芭蕉」
1685年貞享二年芭蕉42才の句があります。この句は解釈が難しい句ですが、「菜畠」「花見顔」「雀」と575にそれぞれがポイントとなる言葉を含んでいます。
「菜畠」とは菜の花の畑であろうと考えられますね。
「花見顔」とはお花見で楽しそうな満足顔でしょう。
「雀」ここでは愛らしい村雀か人なつこい小鳥ですね。
それぞれが季節は春と感じさせますが、雀には季節感はないですね。けれども句の意味としては雀がお花見をしているような春を喜んでいる顔に見えるという意味でしょう。
菜畠はさまざまな菜っぱの植えてある畑であるはずです。そこに花が咲いているのかどうかは解りません。もしかしたら、菜の花を桜に見立てて雀を詠んでいるかもしれません。桜の咲く頃には当然菜の花も咲いていますから、ここでは、雀が菜っ葉の畑にいて可愛らしくそこにある桜の木でお花見をしているようだ。そんな桜の花が咲いているような光景が浮かびますね。果たして実際には底に桜は咲いていたのでしょうか。
今年は桜が早いので、田園風景の一齣にこんな自然のなかで咲く美しい桜を目にしました。山に咲く自然の山桜や、畑の中の一本桜など、意外な場所に意外な早さで咲いている桜が目に入りました。
思いもよらない桜の花の早い開花が、新型コロナウイルスでなんでも自粛の時世にまるで浮世絵のように美しく見えますね。
(2020・3・25)