正岡子規生誕150周年記念

6月も終ろうとしている頃、梅雨の晴れ間の伊予の国へ一泊二日の旅へ行ってまいりました。
伊予の国とは、勿論、四国は愛媛県のことで、中でも松山市の観光名所である道後温泉は文学の地であり松山城がそびえたつ、風光明媚な万葉の昔からの言い伝えの多い町です。今回の旅は、近代の俳句の元祖である正岡子規の生誕150周年記念ということで、子規会館にてイベントが催され、私もそこに出展致しましたので、そのイベントに参加するために出かけました。
正岡子規と言えば知らない方はいない日本文学の偉大な偉人です。
子規は、四国伊予の道後温泉郷で生まれたのですね。同じ年に、夏目漱石も道後の地に生まれ、同級生だったようです。
そんな二人の生誕の地で「至芸の邂逅展」というイベントが開催されました。そのイベントに私も参加したのですが、国内とは言え四国はやはり遠い土地です。
車で行けない者かと考えたのですが、どうにも高速道路をつないでも、関西あたりで一泊必要です。
新幹線はと言うと、案外、乗り継ぎがあり、本土からはやはり海を隔てた遠い土地です。
そこで、今回は飛行機を使いました。
飛行機なら何とビックリ二時間とかからないのです!
驚きですよね!
余りの早さに、時刻表を疑うくらいです。それでも間違いありません。搭乗時間としては約1時間30分くらいなのです。
まさしく、あっという間でした。行には少し梅雨らしい小雨が降っていて、はっきりしない梅雨空だったのですが、四国に着く頃には空が晴れてきて、一日たっぷり市内観光が出来ました。
松山に来たらまずは松山城です。
お城の山へつづく坂道は城下町のなごりでお土産屋さんが立ち並び、お昼はここで松山名物の鯛めしを頂きました。
関東では見たことの無い贅沢なご飯です。
鯛のお刺身がのっている上にタレ汁をかけるものです。お腹いっぱい!
そして、松山城へ登ります。かなり山の上にあるお城へはロープ―ウェイで登ります。
昔の人は歩いて登ったのですね。今は観光用に便利です。
そして、見晴らしの良い城内へはいるとこれがまた山の上らしくそびえたつような美しいお城でいくつもの門がありました。
昔は、敵が攻めて来ても入れないように幾つもの門で遮り、さまざまな戦略を考えて作られたのですね。
大変な工事だったと思います。相当な労力が必要だったでしょう。
そうしてまるで雲の上の空のお城の天守閣まで登りました。見晴らしの良い天守閣からは伊予の国が一望できます。
天守閣まで登り、第一日の旅は、この辺で終わりとして、温泉町道後の旅館へ向かいました。
松山の市街には坊ちゃん列車が走っていて、レトロなマッチ箱のようで可愛いです。
道後温泉の駅には、からくり時計がありマドンナ通りを抜けて道後温泉本館の向い側に宿を取りました。
日本で最も古い温泉と言われていて、夏目漱石も入ったと言います。
温泉の周りは漱石の坊ちゃんにまつわるお人形や子規にまつわる句碑やお土産など、文学の里ならではの雰囲気です。
夏らしく浴衣姿の女性も見かけます。
日本最古の温泉で旅の疲れを癒して、さあ!明日はいよいよイベントです。

子規・漱石生誕150周年記念「至芸の邂逅展」
~6月29~7月2日四国松山正岡子規記念会館にて~
上野貴子はささやかながら一点の俳句を菓子盆にして出展致しました。素敵な工芸品の一品です。
素晴らしい記念になるイベントに参加できたこと、本当に嬉しく思っています。
この場をお借り致しましてお誘い下さった出版社の方々御協力下さいました皆様方に、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

 

芭蕉の「旅」と紀行文

芭蕉と旅と紀行文

芭蕉は自らを見つめ自然の心をとらえ、575の文字で表現するために、風雅の道を求めていました。
そのために、作品に行き詰まると旅を試みています。代表的な紀行文を上げてみましょう。
「野ざらし紀行」「笈の小文」「奥の細道」この3つが最も有名です。

そして、その合間にも幾つかの紀行文を残しています。「鹿島詣」「更科紀行」「嵯峨日記」などです。

 

●年齢順のまとめ(代表的な一句)

四十一才
「野ざらし紀行」野ざらしの旅。1684年秋~翌年1685年4月。

野ざらしをこゝろに風のしむみかな

四十四才
「鹿島詣」 月見がてら鹿島への旅。 1687年8月。

月はやしこずゑはあめを持ながら

四十四才
「笈(おい)の小文(こぶみ)」旅を楽しむ心境の旅。1687年10月~1688年の旅。

旅人と我名よばれん初しぐれ

四十五才
「更科紀行」笈の小文の旅を終え帰りの旅。1688年8月。

俤は姨ひとりなく月の友

四十六才
「奥の細道」みちのくの旅。1689年3月27日深川を出発~9月6日大垣に筆を止める。

閑さや岩に染み入る蝉の声

四十八才
「嵯峨日記」落柿舎滞在中の日記。1691年四月十八日~五月四日。

五月雨や色紙へぎたる壁の跡

 

~~芭蕉の旅を詠んだ句~~

旅がらす古巣はむめに成にけり   42才

旅寝してみしやうき世の煤はらひ  44才

住つかぬ旅のこゝろや置炬燵    47才

旅人のこゝろにも似よ椎の花    50才

旅に病で夢は枯野をかけ廻る    51才

(2017・6・24)

五月の句

● 五月の芭蕉の句を探してみました。結構ありますね。

五月雨に御物遠や月の顔
五月雨も瀬ぶみ尋ぬ見馴河
五月雨に鳰の浮巣を見に行む
五月雨や桶の輪切る夜の声
髪はえて容顔蒼し五月雨
海ははれてひえふりのこす五月哉
日の道や葵傾くさ月あめ
笈も太刀も五月にかざれ紙幟
五月の雨岩ひばの緑いつ迄ぞ
目にかゝる時やことさら五月富士
五月雨は滝降うづむみかさ哉
さみだれや蚕煩ふ桑の畑
さみだれの空吹おとせ大井川
五月雨をあつめて早し最上川

ざっと拾い集めてみても十句以上ありました。勿論、有名な「奥の細道」最上川の句もありますね。やはり五月は初夏の自然の美しさと、長雨の風情とが相まって、芭蕉の句ごころを掻き立てるものがあるのでしょうか。
今でも、五月の頃は緑の美しい風薫る過ごしやすい季節です。
(2017・5・9)

青葉の句

●もうすっかり花は散り桜の木もみるみる葉桜となりました。そろそろ青葉が美しい季節ですね。そこで、ここに芭蕉の青葉の句をご紹介致します。

あらとうと青葉若菜の日の光り

この句は芭蕉「奥の細道」の句です。まさにこの頃は初夏でしょう。日光で卯月の朔日(陰暦4月1日で陽暦5月19日)に詠んだ句とされています。日光の古い杉並木の街道が目に浮かびますね。

(2017・5・1)

さくら10句

●ことしは桜が早く咲き始めましたがなかなか満開を迎えずに長い花の季節でした。それでも4月の満開をむかえるとあっという間に花吹雪となり散ってしま いましたね。今日はそんな桜を惜しみ芭蕉の桜の句を10句ご紹介致します。

さまざまのこと思ひ出す桜かな
花の雲鐘は上野か浅草か
しばらくは花の上なる月夜かな
奈良七重七堂伽藍八重ざくら
初花に命七十五年ほど
咲乱す桃の中より初桜
うかれける人や初瀬の山桜
草いろいろおのおの花の手柄かな
よし野にて桜見せふぞ檜の木笠
花ざかり山は日ごろのあさぼらけ

(2017・4・23)