小林一茶の詠んだ桜の句

象潟もけふは恨まず花の春    27才
(奥の細道に「松島は笑ふが如く、象潟は恨むがごとし」)
父ありて母ありて花に出ぬ日哉  30才
親ありとこたへてもどる桜哉   35才
花の雲あれが大和の小口哉    36才
としよりの追従わらひや花の陰  41才
こつ~と人行過て花のちる    42才
花ちるやひだるくなりし皃の先  43才
かんこ鳥しなのゝ桜咲きにけり  44才
花さくや足の乗り物手の奴    46才
花さくや欲のうき世の片隅に   48才
夕ざくらけふも昔に成にけり    々
花ちるや権現様の御膝元      々
死支度致せ~と桜哉        々
月花や四十九年のむだ歩き    49才
おのれやれ今や五十の花の春   50才
笠きぬや桜さく日を吉日と    51才
人声にほつとしたやら夕桜    52才
ちる花やお市小袖の裾ではく   56才
花御堂月も上らせ給ひけり     々
桜へと見えてじんじんばしより哉  々
ふらんどや桜の花をもちながら  62才
花の影寝まじ未来が恐しき    65才

小林一茶は信州で生まれ、15歳で江戸に出るが、晩年には故郷へ戻り65才で亡くなっている。

苦労の多い人生であったためか、小動物に対する愛情がひしひしと感じられる優しい愛情のあふれる楽しい俳句が多いが、今年は記録的に開花の早い桜を詠んだ句を探してみた。

沢山ある中の一部ここに記載しました。

一茶らしい解りやすい句が多くて思わず笑い出しそうな楽しい俳句もありますね。

どの句も共感を呼ぶ庶民的な優しさを感じます。

(2020・4・3)

一茶の詠んだ桜の一句

歌人西行は「願わくは花の下にて春死なん その望月の如月の頃・・・西行」と詠んだといわれています。歌人達は桜に酔いしれてさまざまな歌を残していますが、一茶は西行とは違い、小さな雀やお馬などの動物の句が沢山あります。それでもやはり桜見物は江戸の頃にはかなり盛んに行われていましたから、一茶にも桜の句が無いはずはありませんね。

そこで、今回は一茶の詠んだ桜の句を探してみましょう。

まずは、

「桜花 何が不足で ちりいそぐ・・・一茶」

こんな句が見つかりました。この句は七番日記の春に収録されているようです。

まるで今の私達の時代に生きているかのような俳句ですね。

新型コロナウイルスで世の中緊迫しています。自粛自粛で不安な毎日ですが、時は待ってはくれません。

今年は特に桜の開花が早く、もう花吹雪となりそうです。

一茶がどこからか、この句を詠んでいる声がしてきそうな今年にピッタリな桜の句ですね。

お月見の名句鑑賞「名月や池をめぐりて夜もすがら」

もうすぐ今年の十五夜様ですね。2018年は9月24日が仲秋の名月に当たります。
お月見と言えば誰でも知っている名月の句、そうです芭蕉ならば池の句、そして、一茶ならば泣く子かなの句がありますね。
この2句を鑑賞してみましょう。

 

芭蕉の詠んだ月の名句

名月や池をめぐりて夜もすがら     松尾芭蕉

芭蕉43才の頃
解釈:仲秋の名月を眺めながら池の周りを歩いていたら、いつの間にか夜が明けてしまい、一晩中美しい月に目を奪われ眺めていたことだ。

この句は深川の草庵にて貞享3年の句とされています。
この月見会には、其角の他にも何人かの弟子達が集まったとあります。
句に出てくる「池」とは「蛙飛び込む」の句でも有名な芭蕉庵の古池でしょう。

一茶の詠んだ月の名句

名月を取ってくれろと泣く子かな    小林一茶

一茶57才の頃
解釈:背中に背負われた幼子が、名月を取ってほしいとだだをこねて泣いていることだ。

この句では一茶が早くに亡くした我が子への思いを詠み込んでいるのかも知れません。儚く哀れさを感じるようにも読み取れます。

一茶の「夕ざくら」

今日は小林一茶の桜の句をご紹介

夕ざくらけふも昔に成にけり       一茶

この句は小林一茶の句です。一茶48歳といわれ「七番日記、文化七年二月」の作品です。
一茶にしては風情のある情景を詠んでいますね。
どこか物憂げな感覚が桜の頃のあっという間の凄まじさを上手く表現されています。

(2017・4・23)